【中編-1】フランス大学院留学 留学先を選ぶ ~Science Po Bordeaux~
「【前編】フランス大学院留学 留学先を選ぶ」で、フランスの大学院で公共政策を学ぶにはどんな大学が選択肢としてあるのかまとめた。
さて、次は各大学の留学生向けコース等を記録しておこう、と書き始めたら意外と長くなってしまった。
ということで【中編】と題して大学ごとに記事にする。第一弾はボルドー 。
★Science Po Bordeaux
日本人に人気のボルドー。日本語補習校もあるくらいなので人気ぶりがうかがえる。ここ数年はフランス人にも人気らしく、年々家賃は上昇しているとか。それでも、フランスの不動産業者meilleurs agentsによればパリの半額程度。学校のパンフレットでは一か月の予算は家賃200-600€、食費200-400€が目安。
2020年の政府統計では、人口約25万人でフランス第8位。ミシュランで紹介されているレストラン数も32とそれなり。学校は中心街からトラムで約20分。
コロナ対策として、フランス人学生は2グループに分けられ、週替わりで対面授業と遠隔授業を受ける。留学生は基本的に遠隔授業。
修士課程のプログラムなどを見るにアフリカ系の研究に強みがありそう。
以下、留学生向けコースについて。
【正規コース】
www.sciencespobordeaux.fr留学生も、通常のフランス人学生と同様の入試+英仏の語学力証明書で入学することが可能。
・研究計画書の提出
・筆記試験(仏語4h)
・語学試験(英語1h+独/西/伊/葡/露/中1h)
・口頭試験(0h25′)
ここでフランス語力が足りないとみなされた場合は、CEP(Certificat d'Etudes politiques)コースに登録となる(もちろん初めからCEPコースに出願してもよい)。
【CEPコース】
www.sciencespobordeaux.fr・対象:外国国籍の大学2年生(政治学分野)以上。
・語学要件:フランス語B2以上。さらに入学時にフランス語(筆記+口述)と文書分析(3h)の試験にパスすること。
過去の文書分析の問題は上記HPからも見ることができる。例えば2018年の問題は、環境問題に関するテキストやイラストを見て質問に50-80単語で回答するものが4問と、次の問の計5問。
En vous appuyant sur les exemples de votre choix, y-compris des exemples choisis en-dehors des documents, vous répondrez de manière personnelle et argumentée à la question suivante : dans quelle mesure la pollution constitue-elle aujourd’hui une menace mondiale et comment pourrait-on y remédier ?
[entre 300 et 400 mots]
-汚染は今日どの程度世界的脅威であるといえるか、また、どのように改善することができるか。
・必要書類:卒業証書のコピー、成績証明書、カバーレター(SoPの簡易版)、CV、B2以上の証明書(TCF, DELF, DALF)
・カリキュラム:CEPコース独自の講座週3コマ(現代フランス、政治学、フランス言語文化)が必修。フランス人学生と共通の講座(1~4年生向け)とCEP独自講座を合わせて、年間で計60ETCを履修するとCEPが授与される。
・生徒数/構成等:明示されていないが、紹介動画ではCEPが少人数で双方向的な講座だと述べられている。また、スペイン、イタリア、オランダ、ポルトガルからの留学生が登場するためEU圏の留学生が主体だと思われる。
・CEP修了後2年以内ならば、同校3年次(学士課程最終学年)又は4年次(修士1年目)に編入可能(自動的に進学できるわけではなく、審査を経る)。
なお、CEPは1年コースだが、半年コースとしてAEP(Attestation d'Etudes Politiques)がある。
【French track/English track】
上記以外に、修了書の発行はないが、フランス語B1以上を対象としたFrench trackと、英語で履修するEnglish trackも設けられている。基本的には交換留学の枠組みがある大学からの留学生向けコースだが、それ以外でもFree Moverとして交換留学生と同じ条件で登録できる。
以上、総括すると
CEPで入学時に試験が課されるのは少し負担だが、その分やる気と能力の下限が保障されたクラスで勉強できる。住環境も、大都市ではない代わりに治安が良く日本人も暮らしやすそう。