むかご日記

@霞ヶ関。2021年-2023年フランス留学(エクス・アン・プロヴァンス政治学院→パリ政治学院)

【大学院留学】Duolingo English Test 120点を取るための対策

Duolingo English Testは、自宅で受験可能な英語の試験。

海外大学院(パリ政治学院)出願にあたって、要綱を調べた際に、英語の要件欄にIELTSやTOEFLと並んで記載があった(注1)のでその存在を知った。

自宅で気軽に受験可能な画期的な試験なので、もし大学院出願等で使用可能なら強く推薦する。

ただ、TOEFLやIELTSほど広く普及していないので、試験の仕組みや形式についての解説がまだ少ない。公式サイトに無料の練習問題が用意されているのでまず試してみることをお勧めするが、それだけでは分からないことも多いので、10回以上受験して120点を取った経験をもとに、Duolingo受験を考えている人向けに、試験の仕組み、形式、120点を目標とした対策について記録しておく(注2)。

(注1)パリ政治学院のHPに、出願に際してDuolingo English Testを使用可能なのは2021年のみとの注意書きがあったため、2022年夏入学の場合は英語要件を確認願います。

(注2)以下の情報は2021年5月時点のものであり、変更される可能性もあります。

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1.Duolingo English Testの仕組み

・所要時間:45分~1時間

・受験料:49 USドル(オンラインでクレジットカード又はPaypal払い)

・試験結果:48時間以内にメールで通知(土日関係なく大体30時間以内に通知された)。教育機関等への結果の送信は無料。

・必要なもの:パスポート、免許証、または公的機関発行の写真付き身分証明書/他人がいない、しっかりと照明のある静かな部屋/試験に専念できる50~60分の自由時間/安定したインターネット接続/前面カメラ、マイク、スピーカーをすべて搭載したコンピューター

・受験制限:30日間で2回まで受験可能。

※試験が認定されず無効だった場合は、受験したとはカウントされず、テスト購入日から90日以内ならば無料で再受験が可能。

試験が無効とは:Speakingで十分に話していなかった、途中で試験を中断した、長時間目をそらしていた、など。ただし、再受験には回数制限がある。無効理由によって変わるようだが、1回(受験は計2回)または2回(受験は計3回)まで。つまり、受験してみて手ごたえが悪ければ、最終アップロード前に「試験をやめる」ボタン(右上に常に表示されている)を押せば、追加の受験料なしで少なくとももう一度受験可能。受験回数上限になると、試験前に「追加のお支払いなしに受験できるのは今回が最後です」のメッセージが表示される。

複数アカウントの使用は不可。知らずに二つ目のアカウントでログインしたら、受験自体は可能だったが、複数アカウントを理由に採点されず再度受験も不可だった。

その他の注意事項等については公式HPの「よくある質問」を参照。

 

2.Duolingo English Testの構成と出題形式

公式サイトの練習問題を受けると、出題形式を一通り体験できるのでお勧め。

(0)準備

所要5~15分程度。試験環境の確認、受験者名等の入力、顔写真やIDの撮影など。

カメラとマイクをオンにしておくこと、他人が映り込んだりすると採点不可となること、常にカメラに顔と耳が映るようにして耳が何かに覆われることのないようにすること、画面から目をそらさないこと、などの注意事項がアナウンスされる。

対策としては、PC周辺に余計なものを置かない、顔回りに髪がかからないよう髪を結んだりピンで留める、を徹底した。

なお、画面から視線をそらしてはいけないと思うと緊張するが、ノートPCの画面かキーボードから大きく視線をそらさなければ問題ないと思われる。微妙に視線をさまよわせたり、画面に近づきすぎて一瞬耳が映らないことがあっても、大抵は採点された。

一度「画面から長い間目をそらしていた」という理由で無効になったが、納得がいかず異議申し立てをしたら、5日後に「再審査の結果認定されました」となった。あきらめずにまずは異議申し立てをすべき。

 

(1)リーディング、リスニング等

以下の形式の問題が45分程度ランダムで出題される。1問ごとに制限時間があり、問題をさかのぼることはできない。

正答率によって難易度が変化していく「適応型」。でも、120点を取ったときも試験終盤でいきなり難易度が低くなったりしたので、受験中は難易度の変化に惑わされず落ち着いて受ければよい。人工知能によって自動採点される。

以下、各問題形式の概要。

【yes/no(text)】20程度の英単語が表示され、実在する単語のみを選択する。

 

【yes/no(audio)】9個の再生ボタンが表示され、再生ボタンをクリックするとそれぞれ英単語が発音される。実在する単語のみを選択する。

 

【c-test】ところどころ穴の開いた文章が表示され、欠落部分に適切な文字を入力する。

例:This building was designed b□ Tadao Ando i□ 2015. He is a famous Japanese arc□□□□□□ and …

□が埋めるべき欠落。単語の冒頭は大抵表示されている。in/is/it、at/an/am/as、and/areなどの短い基本単語や、文章内で出てくる単語が多いが、難しめの文章だとそれ以外も増えてくる。文章の題材は、小説、中学生レベルの理科、手紙、コラム、マニュアルなど幅広い。間違っていてもマイナスにはならないので、わからなくてもとにかく埋めるようにする。

 

【dictation】読み上げられる文章を書きとる。

まず一度、前置きなしに読み上げられ、その後、制限時間以内ならば2回再生可。読み上げ途中の一時停止はできない。

 

【elicited speech】表示される10~20単語程度の文章を受験者が読み上げる。

 

【writing(写真)】表示される写真について1分で1文以上書く(テストの序盤に連続して3問)。

 

(2)ライティング、スピーキング

ライティング(文章)、スピーキングは試験の最後に出題される。それぞれ3段階の難易度の問題が用意されており、それまでの回答を踏まえて選ばれた難易度の問題が出題される。

また、出題は、ライティング(文章)→音声を聞いてスピーキング(1回目)→写真を見てスピーキング→文章を読んでスピーキング→音声を聞いてスピーキング(2回目)の順。

【writing(文章)】

お題について自分の考えを5分で50単語以上書く(1回のテストで1問)。

例:

・「百聞は一見にしかず」という格言は真実だと思うか。

リテラシー(読み書きの能力)は今後ますます重要になっていくと考えるか。

 

【speaking】

表示される写真について30秒以上、1分30秒以内で話す(1回のテストで1問)。

文章でお題を与えられ、30秒以上、1分30秒以内で話す(1回のテストで1問)。

例:

・尊敬する年上の人/歴史上の人物について。

・最近感謝したことについて。

・後悔している決断は?やり直せるならどうする?

音声でお題を与えられ、30秒以上、1分30秒以内で話す(1回のテストで2問)。

2021年1月に受験したときは1問だったが、同年2月頃以降は2問出題されるようになった。

例:

・安定感とお金、仕事にはどちらを求めるか。

・薬で延命を望むことについてどう思うか。

・過去に行ったことのある建物で興味深かったもの。

・最近楽しかったことは?

 

(3)教育機関送信用パート

ライティングとスピーキングがそれぞれ1題ずつ出題される。教育機関にテスト結果を送信する際に送られるが、試験結果には影響はない。

 

3.Duolingo English Testの採点と結果

結果は48時間以内にメールで通知される。実際には、昼間受けると翌日の夜~翌々日の朝までに結果を受け取ることができるイメージ。

結果は、総合評価(Overall)と4つのサブスコア(Literacy, Conversation, Comprehension, Production)で構成される。総合評価は、サブスコアの平均ではなく、独立して算出されるとのこと。また、サブスコアは各出題形式の成績を以下の通り組み合わせた結果なので、サブスコアを見ることで何を重点的に対策すべきか判断できる。

Literacy: c-test, writing, yes/no(text)

Conversation: speaking, dictation, elicited speech, yes/no(audio)

Comprehension: c-test, dictation, elicited speech, yes/no(text), yes/no(audio)

Production: speaking and writing

ライティング、スピーキングについては以下の事項を考慮して採点されている。

Grammatical accuracy / Grammatical complexity / Lexical sophistication / Lexical diversity / Task relevance / Length / Fluency & acoustic features (speaking)
 

4.Duolingo English Testの対策

Duolingo対策について調べても、書籍はもちろん動画やサイトもまだ充実していない。特に、IELTSやTOEFLであれば「何点を取るにはこのレベルの回答」という例が豊富に提供されているが、DuolingoではざっくりとしたHow Toの動画がYoutubeにアップされているくらい。

確かにその動画のレベルの回答ができれば高得点は可能だろうけど、「○○点を取るには」がわからない。

私は、初めて受験したときは95点(IELTS 6.0相当)で、そこから大学院の要求スコアである120点(IELTS 7.0相当)まで点数を伸ばした。これは、海外の大学や大学院に出願するのに英語で苦労している層の平均的な英語力だと思うので、出題形式別に、私が行った対策と、実際の回答の一部を書いておく。

なお私の英語は、留学経験はなく、受験英語がメインで話すのが大の苦手、という典型的な日本人タイプ。数ヶ月間115点で停滞していて、オンライン英会話レッスンで毎日英語を話すようにしてから2ヶ月で120点獲得。

前提:Overallのスコアは各回答の単純な平均ではないため、一つでも苦手な問題形式があると高得点は難しい。得点を伸ばすには、4つのサブスコア(Literacy, Conversation, Comprehension, Production)の点数から自分の苦手な問題形式を見つけ、そこをつぶしていくしかない。

 

【yes/no(text),(audio)】

「mikan」という英単語学習アプリを使った。「mikan」は課金しなくても使いやすく、音声を確認しながら単語を覚えられるので、おすすめ。

mikan.link

無料プランだと教材が限られるため、120点取るにはレベルが少し足りない。課金して、目標スコアに対応するレベルのIELTSやTOEFL用単語帳を使う。

 

【c-test】

慣れないと、穴埋めに適切な単語を思いつかなかったり、思いつくまでに時間がかかったりするので、公式HPにある練習問題をたくさん解いたり、事情が許す限り何回でも受験して慣れること。そうすると、「w□□」を見て候補(was, who, why等)を思い浮かべて正しい単語を選択する、という一連の流れがスムーズになる。

題材になじみがあるかどうかも大切。私の場合、小説やコラムからとっている文章ならなじみやすいが、理科系の話題だとなじみがなかったため、時間があるときにScience for Kidsというサイトを流し読みした。

 

【dictation】

長めの文章※も出題されるので、タイプに時間がかかったり考え込んだりすると3回も再生できず、途中で制限時間が来てしまうこともある。対策として、タイプのスピードを上げる、TEDをスクリプトを見ながら聞く、などをした。

※長めの文章のイメージ:Biodiversity plays a major role in the development of new drugs and the provision of medical resources.

本番では、短い文章では文法上のミスをしない、一度目の再生でなるべく全て聞き取り覚えるよう気をつけた。

また、1度目の読み上げは前置きなしに始まるため、ぼんやりしていたり即座にタイプに取り掛かれないと時間制限がかなり厳しくなる。yes/no(text), (audio), c-test, elicited speechとdictationは大体等間隔で出題される(同じ形式の問題が続くことはない)ので、そろそろdictationが出題されそうだなと思ったら気持ちの準備をしておくことも割と大事。

 

【elicited speech】

制限時間内の読み上げに困るほど長くはないが、読み上げる前にしっかり全体を確認する時間もない程度の長さの文章が出題される。

目にした文章を即座に読み上げないといけないので、ディクテーション対策と並行して、TEDの動画をスクリプトを見ながらシャドーイングした。また、英語のリズムに慣れるためになるべく英語に触れる(英語のポッドキャストを流す、日本語字幕でもいいから英語のドラマ等を観る)ようにした。

 

【writing】

作文は、制限時間は5分と短いが、単語数も他の試験と比べると50単語以上と少ない。採点基準をみると「構成」の項目はないので、「お題に対する賛否」→「理由と例示」の2段階構成で十分だと思う。まとまりのある文章を書こうとすると、お題を読んで回答の方向性を決めるのに1分くらいかかってしまうので、とにかく1文目を早く書き始めて、書きながら賛否や例示をどうするか考えるようにした。

対策としては、TOEFLやIELTSの対策サイト等にあるライティングの例題に沿って60~70単語程度で回答を作り、タイピング練習もかねて覚えるまで何度も書き写した。また、何度も受験していると、確率は低いものの同じ問題が出題されることがあったので、受験後に、出されたお題への回答を作ってみて何度も書き写した。

自分で書くことのできる英語のレベルには限りがあるので、例題が掲載されていたサイトの回答例や英語のニュース記事を自分なりにまとめなおして、オリジナル回答例を作り、語彙や言い回しのバリエーションを増やした。こちらは作成した回答例の一部。

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Youtubeには、イントロ-具体例2つ-結論の構成で140単語程度書くことを推奨する動画があるが、5分でそこまで書くのはネイティブ以外は無理だと思う。私は60~70単語程度しか書けなかったし、回答内容を考えるのにまごついていると一貫性に欠けたり尻切れトンボになることもあった。

例として、120点を取った時の回答はこんな感じ。自分の立場を明確にする導入文+事前に作って覚えていた回答例から使えそうなものを引っ張ってきた。

題:人の行動は自分の意志よりも周囲からの影響によって決まるという意見に賛成か、反対か。

I agree with the opinion that how we behave is determined more by our surroundings than by our intentions. Perhaps the best example of this would be the addiction to the social media. The engineers behind social media platforms create addictive properties within the app to manipulate users into coming back for more. As a result, parents scroll through Instagram instead of interacting with their kids at the park.(69単語)

 

写真描写については、

①以下の動画で、どこから描写し始めるか、物と物との位置関係をどのように説明するか等の基本を押さえる。

www.youtube.com

②日常的な動作や物、風景についての語彙力を伸ばす。主に、後述する「DMM英会話」サービスの「写真描写」の教材を使って練習した。DMM英会話の教材は動物関係が弱かったので、一般的な動物の名前は適当にググって確認した。並行して、英語の瞬発力の訓練として、散歩中などに周囲の風景を英語で説明できるか試して単語や表現が分からなければすぐにググる癖をつけた。

制限時間が1分と短いので、120点とったときも、たくさん書けた場合でこの程度。1文しか書けないものもあった。

例:This is a photo of three children sitting on a wooden bench in a park. In the background there is an apartment.

 

【speaking】

スピーキングは、準備時間は30秒と短いが、話す時間も1分30秒以内と短い。ライティング対策と同様に、TOEFLやIELTSの対策サイト等の例題や実際に出題された問題を記録して、回答を作成し、何度も書いて読み返した。

質問が音声で流れるタイプの問題は、質問を書き留めることができないため、集中して聞き取り&理解に努める。よく聞き取れなかった、理解できなかったという場合でも、Task relevanceは採点の一項目に過ぎないので、とにかく話せばそれなりの点数はつく。

出題内容を理解するだけで準備時間の30秒は終わってしまうので、まずはお題を自分の言葉に直して話し始める、話しながらどんな回答内容にするか考える、という訓練をした。自分の型をある程度作っておくと楽。

例:Well, so, the topic is about (自分の言葉で言い直す). There are ovbiously both positive and negative aspects to this issue. Perhaps, in an article I read recently, it was stated that the benefits of ~ outweigh the worrisome aspects. / Past studies have shown that ~.

難しい語彙・文法を使ったり、内容の一貫性や構成を考えながらゆっくり話すよりも、単純でよいのでたくさん話すほうが点数が上がるという感触を持った。

写真描写についてはライティングと同じ。

 

オンライン英会話レッスン

一人で勉強しているとアウトプット、特に話す練習がしづらい。なので、話すことになれるためにマンツーマンのオンライン英会話サービスを利用した。どこも1レッスン25分なので、約2ヶ月間、毎日最低1レッスンは受講して話す訓練をした。無料体験しかしていないのだけど、おすすめは「DMM英会話」、次点で「産経オンライン英会話plus」「レアジョブ英会話」。価格.COM経由で会員登録すると無料でも相当回数の体験レッスンを受講できる。

eikaiwa.kakaku.com

DMM英会話

オリジナルテキストが充実していて、25分でインプットからアウトプットまで一通りやりたいとか、とにかく話す練習をしたいなど、それぞれのニーズに合う教材がある。また、写真描写用の教材(写真+関連する単語)もあり、スキマ時間で写真に合わせて反射的に出てくる語彙を増やす訓練ができた。無料会員登録でも教材にアクセスできる。

仕事の前(朝8:00~9:30)やお昼休み(12:00~13:00)にレッスン可能な教師数が少なく、前日の予約だと希望の時間にレッスンを予約できないことがあった。

産経オンライン英会話plus

スピーキングの練習に特化した教材はない(ある程度の長さの本文+ディスカッション用質問 という形式が多い)が、講師数が多く予約がとりやすい。22回分の無料体験レッスンチケットをもらえるが、有効期限が4日間と大変短いので注意。試験直前に1日5レッスンくらい詰め込んでスピーキングに慣れるようにした。

レアジョブ

スピーキングの練習に特化した教材はない(ある程度の長さの本文+ディスカッション用質問 という形式が多い)が、どの講師もたくさん質問を投げかけて、こちらが話す機会を多く作ってくれた。画一的なレッスンではなく、「スピーキングの試験対策をしたい」というこちらの要望に沿って、話す時間をとって、文法や発音についてフィードバックを丁寧に返してくれるのが好印象。

無料体験の場合は同時に1レッスンしか予約できない(予約したレッスンを受講してからでないと次のレッスンを予約できない)のが難点。

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留学のための英語試験は、IELTSもTOEFLも受験料が高額だし、かなり前から予約が必要、結果が出るまでに時間かかるうえに、お金をかけて勉強をしないと留学に必要なスコア獲得は難しいという常識があった。英語塾(25万円)と試験(約25000円×10回=25万円)で50万円なんていうのも普通に聞く。

そんななかでDuolingoがリリースしてくれたこのDuolingo English Testは、便利で安くて信頼性もある、学生や普通の社会人にとって本当にありがたいもの。このまま広まってほしい!