むかご日記

@霞ヶ関。2021年-2023年フランス留学(エクス・アン・プロヴァンス政治学院→パリ政治学院)

渡仏23週目 春学期のはじまり

渡仏23週目 1月17〜23日

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今週から春学期が始まる。だというのに、先週のオリエンテーション期間に毎日パーティーしていた留学生たちから、Covid-19陽性になった、授業に行けない、最近会ったひとは検査よろしく、とWhatsAppグループへの投稿が続々。100名強のうち、日月火で10人以上が陽性判明したとのこと。

私はパーティーとは無縁の生活をしていたので粛々と登校。授業の半分は前学期の続き、残り半分は新しく履修。

月曜朝一、8時から始まったのが「非人間動物と政策理論」。チリの大学からの客員講師による応用倫理学の講義。倫理学を勉強する機会ってこれまでなくて、しかもこれは動物関連。ベジタリアンやビーガンってフランスでは多いけど、日本ではまだ一部の特殊な人しか関わっていない印象があったので、これを機会にそのあたりの勉強もしてみたい。倫理学を動物権利の観点から学べて、しかもどのように政策に組み込まれてるかまで射程に入っている。ということで、英語なのがネック(今いるエクス・アン・プロヴァンス政治学院ではフランス語の授業のみにしたかった)だけど履修することに。

英国で教育を受けてチリで教鞭をとっているからか、政治学院の先生とは全く違う講義スタイルが新鮮。具体例がたくさん、対話っぽい形式、いわゆるプレゼンパワポ(他の先生は、パワポは使わないか、図表を映すだけ)。

月曜に始まり、火曜、木曜とすでに3回。今のところは動物の権利についての理論の展開を追っている。

理論と現実があまりにかけ離れている分野って消化するのが難しい。例えば、日本語の参考書を探していて見つけたこちらのリンク。

shinsho-plus.shueisha.co.jp

動物倫理学についての本を書いた哲学・倫理学者が、このリンクでこんなことを言っている。

それから、ペット、コンパニオン動物の反出生主義について。僕も、これを理論的にはこうなるだろうっていうことで書いてるわけです。けれども、結論的には、未来の人に任せますとしている。絶対ペットをなくさなきゃ駄目だとは言ってない。その最大の動機は自分がペットを飼っているからです。僕は猫を飼っていて、ものすごく猫好きなんですよね。

 だから反発をする人の気持ちはよくわかります。犬や猫はちゃんとした人間に飼われれば、幸せな状態でいるわけです。それでいいんじゃないかっていうのもわかるんだけども、やっぱり本に書いた通り、ペットはその運命も存在もすべてを飼い主に握られてる。そして、たいていの飼い主から大事に育てられるけれども、中には虐待されちゃうのもいるわけですよ。理論的には、極めて依存的な存在としてちょっとどうなのかと。

この方は、理論的には動物をペットとして飼うことは批判の対象になるとした上で、現状は猫を飼っている。理論と現実が乖離した状態があり、その状態が必ずしも否定的に捉えられていない(「結論的には、未来の人に任せます」)。そういう分野を学ぶのは初めてなので、混乱する。とりあえず、この対談のもとになっている本「はじめての動物倫理学」は、電子書籍があったので買って読み始めた。

www.amazon.co.jp

授業は面白いが、いつも朝一、日の出前で氷点下。コロナ対策と言って2時間ずっと窓を開け放しているので、とてつもなく寒い。どれだけ厚着をしてもパソコンでノートを取る指先が凍える。マイナス2℃の苦行。

日曜、この日だけはいつも賑やかな通りも静か。窓際で過ごしていると、少しずつ太陽が昇り正面の建物に日差しが降りてくる。

f:id:mukago3:20220124071806j:imageすべて世はこともなし。ただ牡蠣フライが食べたい。