渡仏から1年、残り1年(もない)
2年間の予定でフランスに来たのが2021年8月13日。早くも一年が経った。
渡仏が(ほぼ)決まったのはさらにその1年半前だった。働き始めて以来、毎年希望を出し続けていた職場の留学制度、人事から内定の連絡がきたときは嬉しいような現実味がないような不思議な気分だった。
留学の内定をもらったといっても、留学先の選定や出願は自力。職場の留学経験者を見つけて話を聞いたり、学校のHPで情報を集めたり。並行して英語の勉強と出願書類の準備。
配偶者に一緒に渡仏するか聞いたら曖昧な返事を繰り返されて、苛立ったりもした。
2021年の夏は、ヨーロッパではwithコロナの時期。フランス到着後の自己隔離は無くなったものの、フライト前にPCR検査の陰性証明は必要。人との接触は控えていたけど、万が一陽性だったらフライトやホテルの手配をやり直さないと、、と不安だった。
パリのシャルル・ド・ゴール空港を経由して、一年目の留学先である南仏エクス・アン・プロヴァンスの街に着いたのは朝の10時過ぎだった。Airbnbのチェックインまで2時間くらいあり、衛生パスポートがないとカフェにも入れないので、暑さに辟易としながらまず薬局に行った。
家探しやお金関係で難航し、昔お世話になったホストマザーに電話で泣きべそをかいたりしたけど、9月にはなんとか落ち着いた状態で新学期を迎えられた。
大学の授業はフランス語。頑張れば最低限ノートを取れる、授業に一人でもついていける、無理に友だちを作ることもない、そうわかってからは気楽になった。
勉強に集中できないときはカフェでPCを開いてみたり。入り浸ったのはケーキ屋さん。おしゃれな外観だけど、午前中は近所のおじいさん、おばあさんがおしゃべりに興じている横で出勤前のマダムが新聞を読むような空間。落ち着くし、パン・オ・ショコラが美味しいし、店員さんが感じよい。
試験やレポートを乗り越えて迎えたクリスマスのバカンス。友人とストラスブール旅行をした。クリスマスマーケットを満喫し、北フランスの寒さに凍えた。
クリスマスはホストマザーとその家族と過ごした。ミサに行き、海鮮やフォアグラのご馳走を食べ、プレゼント交換。お料理上手のおばあちゃんに、鴨と栗の煮込みの作り方を教えてもらった。
南仏といえば夏のイメージだけど、冬をおすすめしたい。真冬でも日中は明るい太陽を浴びられる幸せ。夏はむしろ暑すぎる。干からびる。
1月からの春学期は、日に日に春、そして夏が近づいて来るのを実感。朝8時からの授業、最初は暗いなか通学していたのが、少しずつ日の出が早くなり寒さが和らぐ。3月の気温が上がった日、半袖でアイスクリームを食べる高校生もいた。
マルシェでは、人参やジャガイモ、根セロリなど冬に幅を利かせていた根菜が、きらめく果物に押しやられていく。いちご、さくらんぼ、メロンにスイカ。
二学期のテストは、一学期よりはストレス少なく終わった。5月末、9ヶ月間お世話になったアパルトマンをピッカピカに磨き上げて大家さんに返却。
パリのアパルトマン入居まで1ヶ月のタイムラグがあるので、6月は、昔から行きたかったエトルタの崖を眺めて一週間。ボルドーやバスクを旅行して二週間。モンペリエのホストマザー宅で一週間。
7月は、ベルギー旅行とパリ滞在。
この一年は、振り返ってみればずっと、こんなに楽しくて良いのかと思いながら過ごしていた気がする。テストは辛いし慣れないこともある。側から見れば、そんなに旅行もしていないし友人も少なくて地味な生活。
でも、気になることを興味の趣くままに勉強した。毎日好きな夜ご飯を準備してゆっくり楽しむ時間があった。怪我も病気もしなかった。日本の家族も元気だった。フランス語で読書するのを少し楽しめるようになった。
遅くても来年の7月には帰国しているはず。残り1年もない。決意というほどのこともないけど、パリでの勉強と生活、怖がっていないで居場所を作っていかなければと思う。
全力疾走!