渡仏57週目 ヨーロッパ文化遺産の週末
9月12-18日
今週は課題やミニテスト続きに加え、普段なら授業がないはずの木曜日に振替授業。
課題の一つは「AIでのマンモグラフィ読み取り技術を開発した企業の人間として投資家にアピールするための文書作成」。予算確保なんて働きはじめてすぐの頃に財務省への予算要求資料を作ったとき以来だ(あれは新規案件でもなかった)、と思いながら背景、現状と課題、提言、と書いて提出。あとから見直すと自社アピールが弱すぎて、これでは投資してもらえないな、とバツをつけたくなった。
この課題は「公共セクターにおけるAI」という授業で出されたもの。フランスを初めヨーロッパでの国や地方自治体におけるデジタル技術の適用事例、そこに至るまでの制約や問題、規則なんかを勉強したくて履修登録してみた。
実際には、何かを習うというより、AI導入のさまざまなケースを想定してプレゼンやアピール文書を作成してみよう、それを通して技術についての知識を深めよう、というもの。習いたいことからは少しずれていたけど、プレゼンは逃げ出したいほど苦手なので、頑張ってみる良い機会。あと、履修者のほとんどが厳しい入学試験を経ているフランス人エリートなので、優秀だなと感じる学生が多いしプレゼンのレベルが高いので刺激になる。ついでに質疑応答も厳しい(のでプレゼンしたくなさは高まる)。
木曜にはモンペリエのホストマザーがパリに遊びに来た(月曜まで私のアパートに泊まっている)。
この週末はヨーロッパ文化遺産の日。普段は公開されていない国会議事堂や各国の大使館などが一般公開されたり、有料の施設が無料になったりする。
なので、土曜日、ホストマザーや共通の知り合いと、アルベール・カーン記念館に行ってきた。アルベール・カーンは100年ほど前に金融業で財を成した人で、1900年代前半に、当時の最新技術だった写真や映像を使って、世界の風俗を残そうとした。人を派遣もしたし、自らも旅をして、日本にも何度か来たとのこと。隈研吾設計の記念館では膨大な写真や、当時の旅の様子、写真・映像技術が展示されている。そして庭園も有名で、一角には日本風のエリアがある。日本の家屋を移築し、造園技術を習って作らせたとのこと。
庭園をめぐっていたら風が冷たく、油断して長袖カーデガン一枚だった身体を冷やしていった。
夕食は焼きネギと鰯のフリット、マッサマンカレー。グリーンカレーよりマイルドだからホストマザーも食べられるだろうと決めたメニューだけど、やっぱり辛すぎたみたいで具だけ食べていた。
日曜もホストマザーとお出かけ。パリ郊外Frépillonに住んでいる共通の知り合いの家でお昼に招かれた。10何年ぶりのその街はすっかり綺麗に様変わりしていて、唯一、駅の踏切のあたりに見覚えがあった。
お昼のメニューは、パスティスで食前酒、トマトとチーズの前菜、ホロホロ鳥のロースト名残の夏野菜のキッシュ添え、サラダとチーズ三種、洋梨のパイ。ワインは手土産のブルゴーニュの赤(ワイン屋さんで「お昼に招かれていてメニューがわからないので、何にでも合わせやすくい、重すぎず香りの良い赤」でお薦めしてもらったもの)。
お腹いっぱいになり、暗くなる前に帰宅したら課題の続き。木金土日、私が机に向かっている間、ホストマザーはお出かけもせずに私の蔵書を片端から読んでいる。