むかご日記

@霞ヶ関。2021年-2023年フランス留学(エクス・アン・プロヴァンス政治学院→パリ政治学院)

渡仏88週目から91週目 帰国が現実味を帯びてきて焦燥の1ヶ月

4月24日から5月21日

Bon MarchéのSézanneのために友人が手がけた装飾を見に行った。豪奢な雰囲気ですてき。

 

記録をしていないと1ヶ月前のことは遥かかなた。記録していても遠いことのようだけど。f:id:mukago3:20230524154018j:image6月末日の帰国が決定して、焦るように、課題や授業などなどの合間に小旅行を詰め込む。

f:id:mukago3:20230524153814j:image旅行中も移動時間には資料を読んだりレポートを書いたり、なんならオンライン打ち合わせもどんどん入ってくるのでカフェやテーブルを見つけてはパソコンを開く。

f:id:mukago3:20230524153648j:image落ち着かないし疲れるし、こんなに慌ただしくなるよう予定を詰め込むなんて私らしくない。

f:id:mukago3:20230524153905j:imageパリでは夏を前にして蚤の市、フリーマーケットがそこかしこで開かれている。日曜日、勉強に疲れて外に出たら目の前でもフリーマーケット。業者のブースはさらっと流し、ご近所さんが不用品を出しているようなところを覗く。

f:id:mukago3:20230524153732j:imageすでに持っているサッチェルバッグの二回り小さい色違いを見つけたので買う。高校生か大学生くらいの兄妹が店番をしていてほほえましい。

修士の最終プロジェクトも佳境で、(主に人間関係の)問題がこじれて拡大して手に負えない。なるべく関わり合いになりたくないが強制的に巻き込まれると逃げようもなく。

そういえば、1週間ほど、とても丈夫な方なのにお腹を壊していて不思議だった。旅立ちとお腹の不調で細雪の結びを思い出す。

渡仏87週目 ドライヤーを買いに

4月17から23日

f:id:mukago3:20230501013438j:image今学期も終わりが近づき忙しい。授業、課題、試験、レポートと目白押し。合間を縫って結構前に予約していたモリエール「町人貴族」。

f:id:mukago3:20230501013344j:imageターゲットが子供で、演出にも演技にも特に好きなポイント見つからず残念。目的は劇そのものよりちょっと変わった建築の劇場だったからいっか、と慰める。

今借りているアパートは家具や家電、食器やリネン類など一式揃っているタイプ(質やセンスの保証はない)なんだけど、ドライヤーが結構前から怪しかった。稼働すると妙な騒音と、焦げ臭さがある。稼働中の内部を見てみるとコイルか何かが赤く光って発火寸前に見える。そのうち爆発しそうだなーと思いながらも、面倒なのでそのまま使っていた。

それが火曜朝ついに機能停止。数分おくとまた10秒ほど稼働する。爆発や発火はしないんだなあと感心。とはいえそのままにもしておけないので、大家さんに連絡。私が新しいものを購入して返金してもらうことになった。FNACで一番安いドライヤーを購入。こだわりはない。我ながらいい店子だ。

f:id:mukago3:20230501013040j:image本が落ちているのはよく見かけるが、「デルフトの眺望」だったのでつい写真。

f:id:mukago3:20230501013243j:image友人からケーキと花束をもらって部屋が明るくなる。

渡仏86週目 夜がゆっくりな1週間

4月10から16日

f:id:mukago3:20230420235225j:image久しぶりに観劇の予定を一つも入れていなかった。

f:id:mukago3:20230420235159j:image20時過ぎても明るいのでますます長く感じる夜。

f:id:mukago3:20230420234952j:image読むものが多くて図書館に篭りがちの、ぱっとしない平日だけど、雨上がりに授業に向かうとき虹を発見。良いことありそう。

f:id:mukago3:20230420235012j:image土曜日はずっと小雨。でも勉強のやる気が出ないのでお散歩。蚤の市を目指して北の方まで。欲しいものは見つからなかったけど、冷やかしてるだけで楽しい。

雑貨屋さんでかわいいポストカードを買い、姪の誕生日を祝うメッセージを書き込んだ。週明けに郵便局へ行こう。もう小学生なので簡単な漢字も読めるようになっているかな。

f:id:mukago3:20230420235042j:imageお土産を買って帰りたいけど、その年齢の子は何を好むんだろう。小学生の女の子を見るとつい服装や持ち物を目で追ってしまう。

ついでに、老舗の手芸屋さんにも寄る。ちょうど着ているコートのボタンが取れてしまって、せっかくだからアクセントになるものを付け直したかったんだった。壁にずらっと並ぶ見本を眺めて、気になるものを一つずつ当てていく。大きさを確かめ、デザインに迷って一個選び、購入。たった2.5ユーロの買い物客にも丁寧に接客してくれたオーナーに感謝して、軋むドアを後にする。

日曜日は、少し早起きをして土曜日の分も勉強する。とはいえ家族と通話したりしていたら時間が経ってしまった。

f:id:mukago3:20230420235119j:image午後は太陽につられて近所を一回り。無性にオムライスが食べたくなって卵を買い帰宅。安めのでも4個で2€弱もする。なんてことだ。贅沢にも(贅沢にも!!)2個を一気に使ってふわふわたっぷり卵のオムライスの夜ごはん。

渡仏85週目 気温上昇と課題進捗

4月3日から9日 青空が広がり最高気温が17℃。いつまでも日の沈まない夏が近づいている。

f:id:mukago3:20230412183319j:imageそして遅々として進まず最近のストレスになっていた課題に、ついに進捗!

グループ課題で、自分さえ頑張れば終わるというわけではない。タスクを決めるのにひと揉め、決められたタスクは締め切りまでに終わっていない、又は超低レベル。のんびり系のメンバーたちは1週間でメールを一通送っただけで満足している。

f:id:mukago3:20230412183418j:image仕方ないので、必要だと思うことを一人でコツコツ調べてまとめて定期ミーティングでグループに共有、次の段階に進めてきた。それがここ数週間は次の段階に進む了解を得るのに苦労。

この分野は専門じゃないからわからない、次の段階に進めるにはもっと勉強しないといけないと言いつつ、言うだけで勉強しないので何も進まない。これを読むといいのでは?このキーワードで調べたら?と提案しても読まない、調べない。

f:id:mukago3:20230412183444j:image無駄だと思いつつメンバーが欲しがっているものを作り、締め切りまで時間がないこともアピールしてようやく次の段階に進められた(メンバーもその間、的外れで無意味で成果に現れない何かしらを頑張っていた、一応)。3ヶ月かけてスタート地点に立てたかなレベル。でも、ほっと一息。

f:id:mukago3:20230412183526j:image夜にはオペラ「ハムレット」と、劇「Oublie-Moi」。オペラは演出が複雑すぎて難しい。そもそも終演が23時過ぎなので眠いし生活サイクルが狂う。

f:id:mukago3:20230412183601j:image劇は演出と役者の力に圧倒された。ベタなラブストーリー、小劇場で舞台もシンプル、場面転換なんてなし、役者は2名だけ。でも引き込んでくる。啜り泣きが聞こえてくるのもスタンディングオペレーションが発生するのも初めて。普通の人の普通の娯楽として、とても高い完成度。

f:id:mukago3:20230412183619j:imageパリで借りているアパートも6月いっぱいで解約なので、少し前から内見が入ってきている。こちらでは前の住人がいても内見をする、というかそれが普通。退去前に清掃業者を入れることもないし。私はこまめに掃除してかなり綺麗に使っているので(と言うか水回りなんて入居前より清潔)、良い店子だと思う。

f:id:mukago3:20230412183651j:image内見には仲介する不動産業者や大家が同行することもあれば、内見希望者が一人で来ることも。今回はひとり。ウクライナの女性。パリでの住居探しの難しさを嘆き合うなか、キーウには広くて快適な家を持っていたのに人生ガラッと変わってしまった、とさらっと言っていた。

渡仏84週目 夏時間、外出と小旅行

3月27日から4月2日 夏時間になり妙にアクティブな1週間。

f:id:mukago3:20230410031109j:image月曜日、朝から先生と翌日にあるプレゼンの打ち合わせ。先生といっても、講師にきている民間の弁護士。2週間前に初めて打ち合わせをして意気投合して以来、半分はおしゃべりの打ち合わせがこれで3回目。最近見た劇、おすすめの演目、パリの都市発展の歴史や建築、日本の歴史などなど。

f:id:mukago3:20230410031007j:imageもちろんプレゼンの中身も話している。相手は弁護士、私は法学は全く勉強したことがないので時々話が噛み合わない。

火曜も朝からミーティングで、その後も授業、プレゼンなど慌ただしい一日。

水曜は授業が早めに終わるので、友だちに連れて行ってもらいインド食材店やレストランがあるパサージュへ。カレーペーストやすみれの砂糖漬け、薔薇の砂糖漬け、バラのシロップに柘榴シロップを購入。どれもガラス瓶でずっしり重い。

買い物を終わらせたあとお店の片隅で携帯をいじっていたら、女性にちょっと!と声をかけられた。あ、小さいお店だし邪魔だったかな、ごめんなさい、と思ったら「外に出たら携帯いじってちゃだめよ。ひったくられるから」。親切さにありがたく思うと同時に、そんなにぼんやり危機感なく見えたか、、と反省。確かにその周辺はパリでも治安が悪いと言われてる地域。

f:id:mukago3:20230410032100j:image週末はリールへ友だちを訪ねて小旅行。地元の演劇学校の発表を観て、シャルル・ド・ゴールの生家を見学し、彼が好んだ銘菓ゴーフルを味見し、ルイ14世が作らせた城塞周辺を散歩。

シャルル・ド・ゴールの生家は当時のブルジョワジーの生活が覗かれて大変面白かった。

f:id:mukago3:20230410033412j:image一階には食堂やお客さんを迎えるサロン、台所。家族の生活の間は2階。帰宅すると玄関の目の前の螺旋階段で2階に登り、そこで手を洗ったりコートを脱ぐ。

f:id:mukago3:20230410031324j:image部屋によって異なる可愛らしい壁紙。廊下はなくて、各寝室を通りぬけて移動する。

f:id:mukago3:20230410031347j:image完全にプライベートな空間と言えるのは寝室の片隅に設けられた1.5m×0.5mほどの祈祷用の小部屋くらい。

f:id:mukago3:20230410031227j:image寝室の一角、暖炉の隣に洗面台が置いてあったり。

f:id:mukago3:20230410031544j:imageそれから大聖堂で歴史を勉強。f:id:mukago3:20230410031920j:image聖母マリアのチャペルの壁面。上からマリア、サラ、イブ。
f:id:mukago3:20230410031902j:imageリールのla vieille bourse旧株式取引所と紋章。紋章の右上、本がモチーフになっている。
f:id:mukago3:20230410031844j:image四福音使徒。壁や床のモザイク、丁寧な説明をよみつつ見飽きない。

フランドル地方の居酒屋エスタミネで郷土料理カルボナード(ビールとスパイス甘パンの牛肉煮込み)を食べる。大聖堂の隣で信徒さんがやっている小間物屋さんで小皿と瓶詰めのリエット、すみれのシロップを買う。日曜朝に立つ市場のお肉屋さんで郷土料理を買い込む。

f:id:mukago3:20230410032222j:image到着からずっと分厚い雲に覆われていた空だけど、リールを発つときには晴れやかに。

渡仏83週目 啓蟄から春分

3月20から26日

f:id:mukago3:20230401090318j:imageフランスでは、年金改革(支給年齢の引き上げ)とそれに伴う大統領の強引な議会運営に反発して、全国でデモが続いている。一部は暴徒化し、何年か前の黄色いベスト運動ほどではないらしいけど、放火や器物破損なども。

Twitterでフォローしているニュースアカウントもひたすら物騒なパリを流している。それに当てられたのか、なんだか外出が怖くなってしまった。家と学校、それに治安の良い近場(チュイルリー公園やルーブル美術館など)ならいいんだけど、もうちょっと足を伸ばして繁華街などに行くのに妙に抵抗がある。観に行きたい劇などあるんだけど、その近くで暴動や放火が起こっているニュースを見るとチケットの予約ボタンを押せない。普段はあまり気にせずどこにでも行っているのに、変な感じ。太陽が足りなくて一足遅い冬季鬱にでもなりかけているのか?

金曜日。朝は青空で太陽が眩しいと思ったら午後からは断続的なにわか雨。giboulée de mars−3月のにわか雨−を地でいく天候。

f:id:mukago3:20230401090408j:imageそう、たしかに、ひと雨ごとに春が近づいている。体調を崩して引きこもりがちだった先週が明けて、チュイルリー公園に行ってみれば、鮮やかさに驚かされた。

渡仏82週目 髪を切ってパステル画展

3月13日から19日

絶賛体調不良継続中。微熱が続いて頭痛もひどく、授業にも集中できない。コロナ陰性だったのが救い。

木曜は前から予約していたので朝一で髪を切りに行く。帰りがてら「ロシア皇帝の食堂」なるお店でペリメニをお昼に食べる。お店の女性がいかにもロシア人らしく、暖房が効きすぎて暑いと、反応の悪いリモコンをしかめっ面で操作していた。

f:id:mukago3:20230320174540j:imageペリメニはシンプルで美味しい。

f:id:mukago3:20230320174620j:imageお水がウォッカのボトルでサーブされた。

隣のフランス人女性二人連れは、片方が妊娠中とのことで、ボルシチの牛肉にはしっかり火が通っているか、サワークリームは低温殺菌されているか、ハーブ類は無しで、など細かく確認していた。日本人が生魚を食べられないのが辛いのと同じくらい、フランス人はナチュラルチーズ禁止は辛そう。

f:id:mukago3:20230320174701j:image金土も頭痛がおさまらないけど、予定していたことは終わらせていく。日曜日、少し楽になったのでオルセー美術館パステル ミレーからロダンまで」の展示を見にいく。微熱だし度が弱めの眼鏡だしで全体がぼやけて見えた。f:id:mukago3:20230320174748j:image
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f:id:mukago3:20230320174752j:image写真を撮って鮮やかさにびっくりする。

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