むかご日記

@霞ヶ関。2021年-2023年フランス留学(エクス・アン・プロヴァンス政治学院→パリ政治学院)

【中編-2】フランス大学院留学 留学先を選ぶ ~Science Po Paris~

【中編】フランス大学院留学 留学先を選ぶ 第二弾はScience Po Paris。

 

パリは、住環境としては治安の悪さ、軽犯罪だけでなく近年はテロなども発生していること、今後の世界情勢として移民排斥の動きが激しくなってきたときに、その影響を真っ先に強く受けるのが首都パリだろうということがマイナス。また、大都市の傾向として人間関係が希薄であり、家賃をはじめ生活費が高いことも懸念点。

一方で、美術館等の文化施設の数と質は他の都市の追随をゆるさない。国際的な環境で勉強ができ、さらに、長期滞在するにあたっては日本人コミュニティや日本食材店、日本大使館があることの安心感は大きなプラス。

 

知名度や日本人留学生の多さでいえば断然Parisについての記事が1番にくるはずのところ、2番目になったのは、ひとえに留学生向けのフランス語コースが限られているため。希望の専門がフランス語で提供されていれば最有力候補だった。

 

更新が終わってしまったのが残念だけれど、複数の日本人留学生が寄稿してくれていた「パリ大学院生活 at SciencePo」というブログがとても充実していて、基礎知識はもちろん、HPなどではわからない学生生活を伝えてくれている。学校運営がグダグダなことへの愚痴、のびのびした夏休み、国際的な環境で勉強すること、試験前のプレッシャー、インターン先を探す大変さ・・・

parismasterlifeatscpo.hatenablog.com

 

とはいえ、自分のためにも、ここでは留学生向けコースの概観や出願要件をまとめておく。

 

★Science Po Paris

 フランスの大学院に、留学生としてフランス人学生とは異なるコースで入学する場合、いわゆる入試が課されることはほぼない。留学生向けの特別なコースだからという理由もあるのだろう。勉強したい内容と志望コースの整合性がとれている、語学要件をクリアしている、など基本的要件を満たしていれば受け入れられる。

もちろん、ひとつ前の記事Science Po BordeauxのCEPで触れたように、独自の語学試験(+α)が課される場合もある。それでも、米国や英国の大学院に留学するときのようにSoP、複数の推薦状が求められ、厳しく審査されることはない。

しかし、Science Po Parisでは米英並みのレベルが求められる。英語コースならIELTS7.0、フランス語コースならC1の語学要件、推薦状等。2016年は6293人が志望し、合格者は1872人。

留学生向け入試サイト:

Admission en Master - procédure internationale | Sciences Po Admissions

 

修士課程概観】

Science Po Paris 修士課程出願に当たっては、以下の3つの方法が提供されている(専攻によって選択できる方法が限られる場合もあり)。

 ①修士(2年)

 ②ダブルディグリー(1年目はScience Po Parisで、2年目は提携海外大学院でそれぞれ学位を取得)

 ③社会人修士(1年)

①と②は併願可能で、②のほうが枠が少ないため②のダブルディグリーに合格しなければ①の選考になる。

 

Science Po Paris(修士)は6つのÉcole(学校?学院?)から成る。

École d'affaires publiques
École des affaires internationals
École de droit
École de journalism
École du management et de l’innovation
École urbaine

 各Écoleはさらに複数の専攻に細分化されており、学生は希望のÉcole/専攻を選択して、上記①~③の方法で出願することとなる。

 

【①修士(2年)/②ダブルディグリー】

 Science Po Parisは留学生の受け入れと英語授業に力を入れている。そのため、フランスで学士をとっていない者が留学する場合、フランス語で履修できる専攻は全体の約1/4。

上記①修士(2年)または②ダブルディグリーで出願できるフランス語の専門は以下。

【École d'affaires publiques】

•Cultural policy and management
•Global Health
(•Security and Defense) ※おそらくフランス人学生向け
(•Public Administration) ※ENA等を目指すフランス人学生向け


【École des affaires internationals】

すべて英語


【École de droit】

•Master droit économique
•Master carrières judiciaires et juridiques


【École de journalism】

•Master in Journalism

 

【École du management et de l’innovation】

•Master Communication, médias et industries créatives

 

【École urbaine】

•Master in Regional and Urban Strategy
•Urban Planning Programme

 

専攻によって、出願にあたって要求されるものは異なる。

①、②のコースでは、半年間のインターンが義務付けられているため、カリキュラムの中で国際機関やNGO等でインターンの経験を積むことができる。

 

【③社会人修士(1年)】

③社会人修士(1年)コースで出願可能なÉcoleは以下の3つに限られ、ほぼすべて英語である。複数のMasterに併願することはできない。

École d'affaires publiques
École des affaires internationals
École du management et de l’innovation

※法学士の資格が必要なロースクールを除く。

 

以下は厳密にはÉcoleごとで異なるが、共通の部分について。

・対象:大卒後5年以上の職務経験者。École du management et de l’innovationはその他の学業条件もあり。

・語学要件:TOEFL iBT 100, IELTS 7

・必要書類:卒業証書、成績証明書、Personal Statement, 推薦状(professional)2通(École du management et de l’innovationは1通でも可)

・カリキュラム:8月末~翌6月(第1、2セメスター+サマーセッション)。社会人修士用講座と、通常の修士学生と共通の講座とで構成される。

・生徒数/構成等:École des affaires internationals以外は約25~30名。

 

 

以上、総括すると

住みやすさは重視するものによって人それぞれ。

フランス語を第二外国語として勉強しつつ英語で修士号を取ることができる。一方で、フランス語で勉強しつつ語学力を向上させたい学生向けのコースはない。

修士2年コースは、フランス語を主言語としておらず英語のスコアが必要なこと、多数の留学生と交流は持てるが少人数授業があまり充実しておらずフランス人学生との交流は少なそうなことから、私の希望とは異なるため選択肢からは落ちた。

ただし、いずれ英語力も向上させなくてはと考えているので、留学2年目の選択肢として修士1年コースは有望。

 

★第一弾Science Po bordeaux

mukago3.hatenablog.com