むかご日記

@霞ヶ関。2021年-2023年フランス留学(エクス・アン・プロヴァンス政治学院→パリ政治学院)

フランス大学院留学 修士2年目への編入など

フランス大学院に留学するとき、だいたい以下の4つのケースのいずれかに該当すると思う。

①学位は取得しない交換留学等

②学位取得が可能な交換留学(Double Degree)

③日本の学士課程終了後にフランスの大学院(M1)に入学

④日本の学士課程修了後にフランスの大学院(M2)に編入

 

この中でネット上にほとんど情報がないのが③と④。特に④は、実質1年間で修士号取得ということになるが、本当に可能なのか定かでなかった。最近周囲のフランス大学院留学経験者からいくつか事例を聞いたので記録しておく。

なお、話を聞いたのは人事院の在外研究員制度の一環で公共政策分野の大学院に留学した国家公務員の先輩たち。なので、大学院で専攻する分野での勤務経験があることが前提になっている。

これまでの学習・就業分野と全く異なる分野のM2編入は難しいと思う。また、M1にしても、勉強したいことと提供されている講義が一致しない場合は不合格となったケースもあった。

 

③日本の学士課程終了後にフランスの大学院(M1)に入学

このケースは意外と少なかったが、もちろん事例はある。

最もポピュラーなのは、英語でフランスに留学を希望する人がパリ政治学院の正規留学コースに出願する、というもの。パリ政治学院は留学生への門戸が広く制度も整っているため、英米の大学院と同様の感覚で出願できる。

あまり聞かないのが、主にフランス語で講義が行われ、フランス語を母国語とする学生が想定されている≪通常の≫大学院のM1への入学。もちろん例はあって、その人の場合は出願時のフランス語力はそれほど高くなかったけれど、大学での専門と職務履歴、出願先に一貫性があることもプラスとなり、合格したとのこと。

 

④日本の学士課程修了後にフランスの大学院(M2)に編入

日本で学士課程修了→勤務経験→フランス大学院M2編入 というケースが意外と多かった。実は、日本で学士課程を修了していると一定の条件のもとフランスのM2に編入できる、という協定が締結されている。

(参考)日本とフランスの高等教育機関の履修、学位、単位の相互認証に関する協定

この協定に、日本の大学で学士号を取得していると「フランスの大学におけるMaster コース1 年目(Master 1)に入学する資格を有する。優秀な学生であると認められる場合は、書類審査の上、直接Master コース2 年目(Master 2)に編入することができる」と明記されている。
したがって、学士号しか持っていない場合でも直接M2に編入して1年間で修士号を取得することは十分可能であり、実際に、ここ数年で直接M2に編入した複数の事例があった。

ただし、分野にもよるのだろうけど、M2では3か月以上のインターン(Stage)が義務付けられていることも多い。つまり実際に大学院で勉強するのは半年に満たないということになる。フランスで実務経験を積んだり社会人と関わりを持つことに重きを置いているならいいけど、じっくり勉強したいことがある場合には向かないかもしれない。また、編入直後にインターン先を探す必要があり、居住環境を整えたり慣れない学生生活を送る中、自力でインターン先を探すのはなかなか大変とのことだった。

 

③④どちらケースでも、合格の肝は出願先への事前連絡と調整。特に、これまでに同様の事例で編入を許可した経験のない大学だと大学内で制度の確認や調整が必要になる。

逆にいうと、事前に大学にコンタクトして、これまでの経験、勉強したいこと、将来の展望をアピールしていけば、大学のHPで留学生の受け入れについて明記していなくても十分合格の可能性はある。

 

大学のHPで調べているだけだと間口が狭く感じるかもしれないけど、直接大学にコンタクトしてみると色々な留学の形があるよ、なかなか返事来なかったり、色良い回答が貰えなくても交渉次第だよ、というはなし。